「ごめん…でも、違うの…」


どう答えていいかわからずに、言葉を濁してしまう。

私が、隠している事によって、蒼を傷つけているのかな…。


「そか…違うならいいんだけど。何かあったら遠慮なく言えよ。」

「…ありがとう。」


誤解されたくない…。

傷つけたくない…。

そう思っているのに、説明出来ない自分自身が不甲斐ない…。

蒼は、私の肩にあるパーカーをシッカリと前までかけてくれる。

そして、いつもの癖で、私の頭に手を伸ばしかけて止めた。


「ごめん…」

「え…」


そう言って、その場を後にする蒼。

誤解は解けてない…。

ちゃんと説明しなきゃ…。

でも、うまく説明できる自信がない。

誤解を解きたい…

そう思えたこと自体が私にとってはすごく進歩だった。

人との関わりを避けて生活するなんて、私には無理だったんだ。


「あ、美月?」

「えっ?!」


私自身との葛藤の最中、そのままいなくなってしまうと思っていた蒼が振り返り声をかける。

予想外の呼びかけに、私の声は裏返っていた。


それを聞いた蒼は…いつものように笑っていた。


「…うー、何よぉ…」

「お前、ウケるわ…」


蒼を睨みつける。


「ま、それは置いといて…ホントに秋野の話…大丈夫だったのか?」

「!?」


何?!

やっぱり何か知ってるの?

でも、私から、本当の事を言うなんてそんな事出来ないし・・・・


「あは!蒼、心配しすぎ!大丈夫だよ。」


蒼は優しく笑って、『早く来いよ』と言いながら、店に入って行った。