「美月?」


しばらくして、私を呼ぶ声がして、店の入り口に視線を送る。


「やっぱり、具合悪いんじゃん?」

「蒼…。」


横に座り前屈みになり、私の表情を伺う蒼。


「帰るか?送ってくし。」

「え?平気だよ!」


今、この状況をあの3人に見られたらどうなるんだろう。

そんな事を考えて内心冷や冷やで、蒼の顔をまともに見られない。


「でも、顔色悪い。」

「…暗いからじゃない?星見てただけだし。」


周りが明るくて…あんまり見えないのが残念だけど。


「…そう?…なら良かった。」


蒼のこの笑顔が、あの人の心を掴んで離さないんだろうな。


「…秋野が後から行ったの見えたんだけど、先に戻ってるのに、美月来ないから…心配した。」

「………ごめん。」


私の心配なんてしてくれる人がいたんだ。

限界だったとはいえ、自分勝手な行動をとっていた事を反省した。


「ごめんね…」

「いや、大丈夫ならいいんだけど。」

「あ…そうじゃなくて、さっき…支えてくれようとしたのに…。その。」


なんて説明していいかわからない。

普通の人には考えられない事だと思うから。

あんなふうに、助けてくれようとする手を払いのけるなんて。


「気にしてないよ。」


蒼は、ニッコリといつもの笑顔を向けてくれる。