ダメだ…。

少しは回復してるかと思ってたのに。

会話はできるようになっても、やっぱり…。


自分で自分の体を抱きしめるようにして、店の外にあったベンチにゆっくりと腰をかける。

落ち着け。

もう、誰もいないから…。

そう自分に言い聞かせながら息を吐き、空を見上げた。


私…なんか悪い事したのかな…。

なんで、こんなに怖い思いばっかりしなくちゃいけないんだろう。

やっぱり、誰とも一切関わらない方がいいんだろうか。

根暗で、がり勉な青柳美月を演じた方がいいの?

せっかくみんなとも話ができるようになってきたと思っていたのに。


…蒼。

多分、傷つけた。

きちんと立っている事すらできていなかった私を、ただ善意で支えてくれようとしただけなのに。

わかってるのに、あんなこと…。

しかも、店の中の雰囲気まで崩しちゃって…。

どうすればいいんだろう。


自分も傷つかなくて…誰も傷つけない…。

そんな自分になりたいのに。


頭を抱えて膝に肘をつく。

頭の中は完璧にパニック状態で、何から考えていいのかもわからなかった。




「体調は大丈夫?」


あ…。


「うん…平気。ありがとう」


口ではそう言いながらも、恐怖心もなくなっていないのに…。

今日は厄日だ…。

そんな気持ちでいっぱいだった。