いつも、私はみんなにこんな迷惑をかけていたのかと…再確認した気がした。

人のふり見てわがふり直せ。

昔の人は良く考えたもんだ。


「美月~!」

「ん?」


冷蔵庫の前でビールを持って、蒼に渡すべきかどうかを真剣に悩んでいるとき、蒼に呼ばれる。


「何?」

「ちょっと来てっ!」


ビールを一度冷蔵庫にしまい、顔だけ覗かせる。

すると、ソファーに座り、自分の膝をポンポンと叩いている蒼。

ここに座れってことだよね?


「どうしたの?」


フラフラしている蒼を見ながらソファーに腰をかける私。

うわっ!

腕を引かれ、いつの間にか蒼の膝の上に

抱き抱えられるように横向きに座らされていた。

ちょっ…!

蒼のキレイな顔の全体が見渡せないほどの至近距離。


「なんで、お前はそんなに可愛いの?」

「はぁ?!何言って…蒼酔ってる!」


なんでと聞かれても。

そんな自覚は全くないし!

茜のがよっぽど…


「わっ!」

「酔ってないし…」


あっと言う間に、ソファに背中がくっついていた。

蒼の両手は私の両肩に。

待って……何?

この体勢…。


「美月…なんでお前はそんなに可愛いの?」

「…や……あ…あの…」


再度、同じセリフを首を傾げながら言う蒼。

酔ってたフリしてた訳じゃないよね?

口調が、さっきとは違って…。

いつもよりも少し低い声。