500缶6本パックが2つ。

やりすぎだろ…。

と、当然ツッコミたくなるよね。

6㍑だよ?


「残ったら、今度飲むから置いといて!」

「あ、うん」


私の驚き顔を悟ったのか、蒼は付け足しながら、リビングに向かう。

ビールを一本だけ取り出し、残りを冷蔵庫へ。

グラスを持ってリビングに戻ると、『一杯くらい付き合ってくれるよね?』と極上の微笑みが私に向いていた。

その笑顔が視界に入った時、私の心臓はキューっと締め付けられる。

な…何今の。

動揺を隠しながら、小さいコップに半分くらい注いでもらう。


「「乾杯!」」


カチンとグラス同士がぶつかって綺麗な音を奏でる。


「ふはぁ~!やっぱ、ビールだね!」

「やっぱ、苦いよぉ。」


ははっ!っと笑いながら、ぐびぐびと飲み干す蒼。

コーヒーが落ちるまでの時間が待ち遠しい…

それにしても…さっきのは一体何だったの?

呼吸すら苦しくなるような胸の痛み…。


「この短時間に、よくこんなに作ったね?」

「え?あぁ、うん…作ったって言ってもサラダくらいだしね!」


相変わらずおいしそうに食べてくれる蒼を見ていると、やっぱりうれしくなる。

サラダの味なんて、ドレッシングで決まるようなもんなのにね。

今度はドレッシングも作ってみる?

和風っぽい方が好きそうだな。

何気に、こういうときにリサーチしてたりする。


「美月、グラス!減ってないよ!」

「うぅぅ~」


今日の蒼は意外と厳しくて、私が酔ってないと思っているからなのか…やたらとお酒を勧める。


「あ、コーヒーできた!」


蒼の隙をついて、グラスのビールを頑張って一気に飲み干した。

また、注がれる事のないように、キッチンにグラスを下げてから、コーヒーを注いだ。