私は、腫れた目に2枚のタオルを交互に当てながら、蒼がテレビを見ながら食事をしている様子を眺める。

なんで、いつも通りなんだろう…。

思ってることがあるなら、言ってくれればいいのに。


スッキリしない気持ちで、ボーっとしている私。


「どうした?」


そんな私に気付いた蒼が、突然私に視線を移す。

あ…う…。

何か言わなきゃって思うのに、思うように言葉にならない。


「気にしてないから。」


私より先に、蒼が口を開いた。


「別に、美月が気に病む必要ない。お前は悪くない。俺は、自分が見て来た美月を信じてるから。って言っても、まだ…3週間くらい?」

「蒼…。」


ニカっと笑う蒼は、いつも通りだった。

気を使ってるとかじゃなく?

今まで通りでいいって思ってくれたの?


「だから、もっとこれから、可愛い美月見せてね!」

「?!」


この雰囲気で言う言葉?

急激に熱くなる頬に戸惑い、目にあてていたはずの冷たいタオルで顔を覆う。


その様子を見て、蒼はクスクスと笑っていた。


「今までどおりでいいの?」

「なんか、変わる必要ある?」


タオルを少しずらして問いかける私に、逆に質問をする蒼。

私は首を横に振るしかできなかった。


「…ありがとう。」

「あ!一つだけ約束して!」

「何?」

「過去の事は仕方ないと思う。でも、これから…もし何か困った事があったら、一人で抱え込まないこと!まぁ、昔の事でもいいんだけど…とにかくいっぱい話をしよう?」

「…うん。」


一人じゃない。

今の私には、話を聞いてくれる友達がいる。

それだけでも、私の心は軽くなった気がした。