まるで、用意してあったように、体操のマットが敷かれていて、私は抱きかかえるようにして、そこに倒される。


「ゆう…と?」

「黙ってて…」


そう言った、次の瞬間に、私の制服のボタンが飛び散る音がした。


「!」


胸元が露わになった状態で、拓真が近づいてくるのがわかった。

私の左手を押さえた拓真が、ポケットから何かを出そうとしているのがわかった。

…カメラ?

それが向けられた瞬間に、涙がボロボロと流れる。


「優斗…?何…す…るの?」

「…」


何も言わない優斗の右手が私の足に触れる。


「…ヤダ……」

「ごめん。」


なんで…そんな目をして見るの?

少しずつ、太ももを伝って来る手。


なんで…そんな泣きそうな目をしてるの?


「イヤー!」


「な…お前ら!なにしてる!」


咄嗟にカメラを隠す竹下。

優斗は、ゆっくりと開いたドアに視線を向ける。


「ふ…ふざけるなよ!?」


状況を把握した先生が大きな声を上げる。


「うるせぇ!!」


涙で視界がかすむ私に、優斗は一瞬視線を合わせて、淋しそうに微笑んだ気がした。

ボタンが飛び散ったシャツの襟元をクッと締めてから立ち上がる。


私は、しばらくの間、天井を眺めながら涙を流す事しかできなかった。