…。




…。




ブランコをゆらしても、なんの音もしない。そんな手抜きな管理はしない。




ただ、わたしが空気をゆらす気配だけがある。




ズザザッ、っとわざと足をで大きな音をたてて、ブランコをとめる。




それでもすぐに、沈黙がやってくる。




カバンにぶらさがっているウサギさんに、話しかける。




「今日、楽しかったね」




まあるい大きな目が、わたしを見ている。




ウサギさんは何も答えない。




「せっかく気合い入れておしゃれしたのに、蓮也さんとふたりきりじゃなかったし、デートって感じも全然しなかったけど…ふふっ、うん! 楽しかった!」




蓮也さんから誘われるなんて、思ってもいなかった。わたしのことなんて、一ファンとしてしかみてなくて…ううん、そのまま忘れちゃったのかも、とも思った。




でも…。




でもね…。




どうして、メールくれたの…?




わたしのこと、気にしてくれてるの…?




わからないから、都合よくとっちゃいますよ?




ねぇ…蓮也さん…




「わたしのこと、どう思ってるんですか…」




ウサギさんは何も言わない。




キミもいっしょに、笑えたらいいのにな。