わたしはひとつ大きなため息をつくと、すぐに家には入らずにとなりの児童公園に向かった。
うちの市が管理している、小さな公園だ。
ブランコと、すべり台と、砂場と、ベンチがある。
市が管理しているだけあって、いつもキレイに清掃されている。遊具は青と赤と黄色のペンキがきっちりと塗られていて、植えられた木もシャープに切りそろえてある。
ただ、子供たちの姿がない。
そろそろ闇が降りる夕方だから、ではない。普通の子はもっと大きくて活気のある離れた別の公園にいく。入り口に書かれた「禁止事項、守るべきルール」の看板を読ます相手も、ここにはいない。
ここに来るのは昼間はぼうっとして時間をつぶしているサラリーマンや主婦や学生、夜は色気とお金のない、熱の冷めたカップルだけだ。
わたしは子供のころからずうっと、この公園が好きだった。
家の隣にあるってのもあるけど、ここにくると気持ちが落ち着く。
あのころ感じたわたしのさびしさが、今のわたしを慰めてくれる。