「…ほら、あーん、しろ」
スッ、と、蓮也さんがスプーンでアイスを一口さしだした。
「あっ…」
頭で考える間もなく、反射的に口をあけてた。
「…んっ」
イチゴの甘酸っぱい口の中が、きゅうにチョコのほろ苦さに変わる。
きゅ、と心が縮む。
じぃっ、て目線を送っていたら、こんどは蓮也さん、笑ってポンって、頭に手をおいてくれた!
うれしくて…でもなんだか恥ずかしくなって、手元に視線をおろした。口が勝手にゆるんでくる。
もっと…もうちょっと、甘えても、いいかな?
とんっ、と肩と肩で、ふれてみる。
「あ、あの…ちょ、ちょっとだけ…こうしてても…いいですか?」
言っちゃった…だって、となりにいるんだもん。ふれていたい、よ。
よくばりかな…わたし。
「…ふっ」
蓮也さんが笑って、わたしを見つめる。すごくやさしい笑顔。うぅ…顔熱くなってきた。
「どうぞ、姫」
「…っ!」
とろけそうな笑顔と一緒に、甘い甘い蓮也さんの声。人の歓声やゲームの音がずっと遠くになり、わたしは蓮也さんの肩に頭をのせ、彼の世界に身も心ももたれかかる。
あなたとわたしの、ふたりの世界。
ほうっ、とまたため息をつく。
最初のため息とは違う。
今度のはピンク色の、ため息。