ドン! ドドドン!
カッ! ドン! ドドドドカッ! ドドン!
パカっと開いた口が閉じない…だってだって…なにあのバチさばき…!? 格ゲーにあきた凛ちゃんが次にえらんだのは、太鼓の達人。
「あんた、できんの?」
「えっと…苦手、です」
「ふうーん…」
「あ、わたし凛ちゃんがやってるの見たいな! いい?」
「べつにいいけど…」
「うん、じゃあ見てる! がんばって! 凛ちゃん!」
ちら、とわたしを見てから太鼓の前に立って、レベルと曲を選びはじめた凛ちゃん。自然な流れで叩きはじめる。
叩きはじめて数秒後から、わたしの口は開きっぱなし。画面に流れてくる太鼓の合図と、凛ちゃんの手を交互に見る。
はやっ! え!? はやっ!! すごっ…!
素早くなめらかできれい。でも、力強くて正確。真剣な凛ちゃんが、かっこいい…。
ドドドドド…ドンッ!!
大きな音を立てて、一曲を叩ききった凛ちゃん。
スコアを見ると…おおう! ノーミス!!
「すご…」
ノルマクリアすると、もう一曲遊べる。凛ちゃんは、二曲目も華麗に叩ききった。いつのまにか、わたしの後ろには、凛ちゃんのバチさばきに目を奪われたギャラリーがたくさんいた。
「すっごい! すっごいね、凛ちゃん!!」
次のゲームに移動中、わたしは、ずーっとガマンしてた興奮をおさえられなくなって、思わず凛ちゃんの手をにぎった。
「え…ちょっと…!?」
「あのバチさばき! 速くてすごかった!! わたし、あんなすごいのはじめて見た! 超かっこよかったよ、凛ちゃん!」
にぎった手をぶんぶん振ったら、何だか凛ちゃん困ってた。だって、ほんとにすごかったんだもん!
「…べつに。大げさ」
まだわたしがにぎったままの手をふりほどくことなく、ちょっとだけ横を向いた凛ちゃん。
ふふ、すごくかっこよかったよ!