「あ、それっていいですね。せっかく同じクラスになったんだから、お友達にならないと、ですね」




ありさちゃんはすぐにそう言ってくれた。




ありさちゃんはほがらかで見た目も声もかわいくて、癒し系だ。頭のおだんごがまたよく似合ってる。新しいお友達。




「ええ〜、なにそれ!? なんでわざわざそんなめんどくさいことすんの〜!? いいじゃんほっとけばさぁ〜」




ポニーテールの先をゆらしてエリカがいう。めんどくさいことがなにより嫌いなのだ、彼女は。その眉間のシワ、クセになっちゃうよ?




「な〜んか最近の陽菜、あいつのことが気になってしょうがないみたいだね。まぁなんかひ弱そうで暗そうだけど、メガネかけてて顔はけっこうイケてるよな」




「顔、とかじゃないよ」




「あ〜そうか、わかった! ゲームか! あいつのゲームがねらいか! 陽菜高校入ってから部活もしてないし、単にヒマなんだな?」




「うっ…! それは…あるけど…。でも壁作っちゃって一人でいるのって、気楽なようでいてまったく逆なんだよね。わたしも経験あるからわかるけど…」




「ん…そういえばあいつん家って親いないんでしょ。なんか二人とも有名なデザイナーで、ほとんど海外にいるみたい。うちの親が去年クラス役員だったから、そういうのに詳しくてさぁ…はー、去年からぜんっぜん変わってないな、あいつは」




「ほらほら、そうでしょ! ひきこもり〜、精神的ひきこもりだよ〜。ここはみんなでお弁当持ちよって彼にわけてあげよう! 同じ釜の飯を食った仲になろうよ!」




「…同じお釜でたいたご飯じゃないけどね。ま、いっか。あたしもなんかゲーム借りよっと」




「一緒に食べてくれるようでしたら、今後は鷹井さんのためにおかずを増やしてきたほうが良さそうですね」




「うわーい☆ エリカもありさちゃんもありがとー! よーし、じゃ、さっそく誘ってくる!」