わたしが大声あげたら急にその子、黙っちゃった。
顔を下げて、ぎゅっと握りこぶしを作ってる…あれ…? 泣かしちゃった…?
って思ったらまた顔を上げて…小さくつぶやいた。
「…さんとは、大違いだよ」
えっ…よく聞き取れなかった…今なんて言ったの…?
でも彼女はすぐに背を向けて、奥に走っていった。一瞬蓮也さんは追いかるそぶりを見せたけど、はぁっ、てため息をつくと今度はわたしのほうに目を向けた。
「わるいな、またあいつの悪いクセが出た…。もうなおったと思ったのに…あれから…」
「悪いクセ…ですか? あ…っと、あの…そ、それいじょう、近づかなくて、いいですからっ!」
ストップ! って蓮也さんに手を伸ばす。だって、それいじょう近づかれたら心臓もたないもん!
「ああ、失礼。すぐ着替えてくるよ。とりあえずあがって待っててくれ。メール…あいつがメールして、呼んだんだろ、悪かったな」
「いえ…蓮也さんが無事なら、それでいいんです」
嘘でよかった…ほんとうによかった…。
「ふっ、それはさっきのセリフで、よくわかった。ありがとうな」
そういって彼が…そっと頭を…なでてくれた!!
叫びたいのと、泣きそうなのとで、ぐるぐるしちゃった。
あ~っ、卒倒…してもいいかな?!