「え!? ひきこもり!?」




エリカの大きな声が教室中に響きわたる…わけもなく。




新学期特有の不安と期待のいりまじったざわめきに、聞きなれたエリカの声も飲みこまれていく。




わたしは中学からの親友のエリカと今回はじめて一緒のクラスになれたから、それだけでもとっても気分が楽だった。




「うん…ほら、優一…鷹井くんっていっつも一人でゲームしてるじゃない?
お昼の時間になるとプイッとどっかいっちゃうし。きっと家でもひきこもって親との交流がないからお弁当作ってもらえないんだよ! そんでちゃんとご飯食べてないから、あんなひょろっとしてるんだよ!」




「…えーっと、陽菜さん?…それは『引きこもり』じゃなくって、単に『一人でいるのが好きなだけ』なんじゃないの?」




「え…あ、そっか。でね、でね、お弁当を作ってもらえないかわいそうな彼のために、わたしたちのお弁当をちょっとずつわけてあげたらどうかなぁ? って思ったの!」