…再生が終わると、となりで優一くんがふか〜いため息をついた。
「うん…桜木さんが楽しい人だってことだけは、これを聴いてよ〜くわかったよ…でもこれじゃ『声の演技』とは言えないよな…」
そう…あれが正真正銘、はじめての「声」だった。
わたしはまだ…誰に対して、なんのために声を届けるのかも、全然わかっていなかった…。
ただ、聞いてくれるあなたに向かって、一生懸命しゃべってた。
でも、それだけでよかった…。
だれかのために、夢中になってしゃべることで
想いを伝えようとすることは
とても幸せなことなんだって
この時はじめて気づいたの。