マネージャーの米本さんは待ち合わせの時間に10分遅れでやってきた。




ゴメンゴメンとあやまりつつもそのままふつうに同じテンションで先を急ごうとしている姿はどこかまだ学生っぽかった。




地下鉄に乗って駅からのぼる階段とスタジオにのぼる階段のシーンがおもいだされた。




収録の前日はふつうによく眠れたし朝はシャワーを浴びてフルーツを食べてきた。




そうしてスタッフさんや会社の偉い人やほかの声優さんたちとのあいさつをこなし、立ち位置の確認など、リハーサルすべての記憶がマイクの前に立つわたしとして一瞬に凝縮されたとき、わたしは実はものすごく緊張していたのだということをようやく実感として思い知らされた。