「ちゅっ…っと軽く音を立てて、耳に口づけをする。




情けない声をもらす男。




耳たぶを甘噛みして、しだいに首筋へと唇をおろしていく。




少しきつく吸った皮膚に、小さな紅い華を咲かせる。




今度はとがらせた舌の先端で、首筋をうすくなぞるようにして、遊ぶ。




あまりの快楽にその場でくずれ落ちそうになる男を離さぬよう、両腕でしっかりと骨を締めつける。




トドメに肉を押し分けて、




深く牙を埋めこむ。




首筋に咲いた、ひときわ大きな紅い花」




「ぎぃやぁああああああーーーーっ!!!!」




ゲーム画面いっぱいに、男の悲鳴が映しだされる。




「ジュ…ジュルル…」




「口が、舌が、勝手に動く。口の中に生あたたかい鉄の味を感じる




『綺麗…




でも…




あなたじゃなかった…




あなたであってほしかった…』




…邪魔者は排除する。転生したエレンディラは、その悲しみをのりこえ再び運命の恋人を探し求めて男たちを…」




「…桜木さん…泣いてるの…」




優一くんの瞳が見ている先の、自分のほほに伝わるひとすじの涙の熱を感じる。




「エレンディラも泣いてるよ…心の中で」




「桜木さん…ゲームにはいりこみすぎだよ…。




そんなに悲しいんだ…桜木さん」




「それだけじゃないよ」




それだけじゃない。




だって…今、すごくきれいにみえるもん。




お前の、その無防備な首筋が。