「すごいね、優一くんのお母さん。毎朝こんなのつくってくれるんだ。海外行ってたんじゃないの?」
「前の晩に材料切っておけば朝は楽だよ。とり肉は切って塩こしょうしてバジルペーストに漬けとけばいいし…親は…海外いったり…いかなかったり…まぁ、そんなところ」
「鷹井くんのお家ってお金持ちなんだあ。あー、それでゲームいっぱい持ってんだね〜。あ! そーだそーだゲーム! 食べ終わったらゲームしよー♪」
「桜木さんゲーム機本体もってないでしょ? こないだ言ってたよね。なんでそんなにゲームに興味あるの? …そういえば好きな声優が出てるとか言ってたよね」
「あー、そういえば陽菜好きな声優いたよね、なんとかって言う…。中学のときから言ってたな」
「はーい、神月蓮也さんでーす! そうです、コーチのおかげで最後のあれが跳べたんだもん。コーチはわたしの師匠です!!」
「ふーん…桜木さん、なんか陸上やってたの」
「あ、それはわたしも初耳ですね」
「うん、走り高跳び。いまはもうやってないんだけどねー」
「あのころの陽菜、ほんっと性格悪いっていうか、壁作っててねー。まぁ記録記録、記録のことで頭がいっぱいだったんだろうけど。あんときあんたマジヤバかったって」
「うん…。でもコーチに救われた! 今のわたしがいるのは『跳びガール!』の小比類巻コーチのおかげなんです!」
「そこまでいうか! アニメキャラに! ざんねんだねぇ、好きな人がアニメでさ…って、陽菜の初恋の人もその人なんだよね」
「いやぁ〜、バラさないでよエリカ〜。たしかに小比類巻コーチは理想の恋人だけど…でもでも!わたしが好きなのは蓮也さんなんだもーん」
「あー、だめだこいつ。頭いっちゃってるよ」
そのエリカの言葉のあとに発っせられた優一くんの一言で、その場での楽しいおしゃべりは終わりを告げた。
「声優が好きだなんて…どうかしてるよ」