あたたかな、春の陽気が空いっぱいにひろがってる。
この高さだと川ぞいの桜並木がよく見える。
屋上は同じようにお弁当を食べてる人たちですごく混んでいた。
そんななか、わたしたち三人の目の前に広がったのは…。
エリンギとカニかまとキュウリと卵焼きの、色あざやかな断面がきれいにならんだカリフォルニアロール巻きと。
黒こしょうしたパリッとした色のチキン(きれいな形のハーブ付き)と、シーザーサラダ。
そしてそれらを入れている、ぼたん色したかわいいお弁当箱。
「ええええっ! これが優一くんのお弁当ぉ!?」
わたしたちがあげたおどろきの声が、春空へと吸いこまれていく。