彼女の鼻もとと唇の間に指を添えたあと、耳を添える。 その後に、首筋に指をあて十秒ほど待つ。ある程度の大人ならば僕がやっていることぐらい分かるだろう。 生存確認をしたあとに。 「し、死んでる……」 結果を報告すれば、どさりと出流さんが倒れた。 「か、歌憐ー!」 しゃがみこみ泣く夫。 唖然とした佐藤に。 混乱する平野。 泣いている雫。 僕は真っ赤な水で汚れた手を見続けた。