信号を渡り、振り返ると車の切れ間から、茫然とこっちを見ている、なっちゃんの姿があった。 


「あ、ごめんっ!」 


あたしの腕をつかんだままの寺崎くんが、慌てて離す。 


「あ、うん…」 


やばっ… 


また緊張してきちゃったよお。 


視線をそらすため、なっちゃんの方をもう一度見る。


二人の姿はなかった。