その理由は、今から遡ること、約10分。

極度の方向音痴なあたしが1人で
この広い学園の体育館まで辿り着くことには

やっぱり無防備だった。

―――――…*


新しい、制服。
新しい、学校。
新しい、生活。

「 高校生… 」

なんとなくカッコいい響き。

そんな、期待と不安が入り混じり、
波のように押し寄せてくる緊張。

何もかもが新しい、
そんな環境の中、あたしは浮かれ過ぎていた。