こんこん、とドアを叩く音が部屋に響いた。


現在22時31分。

こんな時間に一体誰がやって来たのか。
それは考えなくても直ぐに出る答えだった。


がちゃ、


「…何の用ですか熱血さん」


「あ!どーも夜分遅くにすみません、」


「そんな事より何の用ですか熱血さん」


「…田口って名前なんですけど…」


「知ってます」


「……。
まぁ、知ってるなら良いです…」


「で、用件は何なんですか?
無いなら帰って下さい」


「あ、待って下さいよ!
実はですね、通販で誤って女性用のダイエット器具を買っちゃいまして…」


「…返品不可なんですか?」


「不可でした…。
でも、どうです?いりませんか?
中々良さそうですよ?」


そう言って笑顔で言う田口は彼女の目には“押し売り悪徳セールスマン”と映ってみえた。