ジャスト五分。

俺達三人はなんとか、顔を洗うことと、歯を磨くことは出来た。


「おいっ! 先に行くぞ!」

そう一番に玄関を出ようとしたコウタの足元は……スニーカーだ。

「この馬鹿! スーツにスニーカーかよ!」

コウタはあっ、というような顔をして、革靴を探し始める。

前の日から用意しとけって、昔から言ってるのに……このニワトリ頭が。

アンナはアンナで、白のハイヒールをそのまま履いていこうとしている。


俺の口からは、盛大な溜め息が吐き出された。