―――

 そのときの感情を、素直に認める度量はなかった。
 けれど読者のみなさんが、やきもきしてもアレなので、大学生になった僕が代弁しておこう。
 …いや、するまでもないか。


 つまりは、単純だ。高校生の僕がいくら否定しても、始まらない。
 人類が大脳を獲得して100万年近く感じてきた、苛まれてきた、悩まされてきた、未知なる感情。
 どんな偉い生物学者も、それを生殖本能だと断言できない、不思議な感情。

 アレです。
 みんなが口にする、「好き」ってアレです。


 で、話は青春真っ只中、根暗な高校生の僕に戻る。

――――
―――
―…