そんな事考えていた高校生の僕が一体どんな顔をしていたのか――
 それは大学のゼミの帰り道に寄った飲み屋で、ミヤコの口から聞く事ができた。
 
 「まるで、子ギツネの顔だった。獲物を狩ってこれなかった母ギツネを責める、目をしていた」
 
 彼女はそう回想した。


 確かにそのときの僕はガキで、彼女もガキだったけど、僕よりはきっと大人だったのだと思う。――なぜなら
 
 なぜなら彼女は、笑ったからだ。
 自分の思い通りにならなかった事で相手を責めという不条理な僕の視線に、彼女は笑ったのだ。

 「…アハッ!」