仲間と馬鹿笑い出来ない高校生に、唯一残された生きる術は、心を閉ざし何にも期待しないことだ。


 それはちょうど、古い山小屋にたどり着いた遭難者みたいなものだろう。

 たとえノックされても、彼は扉を開けてはならない。
 なにせ、外は吹雪だ。人がいるわけがない。
 だが、彼は一縷の望みにすがるように、扉を開けてしまった。
 「もしかしたら、助けが来たのでは?」と。
 
 やれやれ、愚かとしか言いようがない。
 
 扉の外には美しい娘。
 彼は自分が困憊してるのにも関わらず、娘を助けようとする。…が――― 
 
――が、しかし――
 と、僕は思った。

――娘は実は雪女で――まぁ、以下省略。
 
 そんな感じだ。
 ともかく、『分かり合えそう』などという脳が沸いたみたいな事を考えたコッチが悪い。
 相手は女子高生だ。“嘘と偽りと真心の境界点に住む”生き物だ。

 『真実』のすぐお隣に『嘘』と『偽り』を住まわせてるヤツと、何が共有できるというのだろう