世界への不信感を僕に集中させて……彼女の目はそんな光を宿していた。
 僕はそんな、厳しく難詰するようで同時に妙に弱々しい視線を振り払うよう、手にしたポーンを振りかざした。
 
――僕に何も求めるなよ…と。


 振り上げられたポーンの駒は、彼女のビショップを倒す……。
 倒す……。 倒す……? 
 いや、倒そうとした。

 が、その瞬間、僕はようやく"罠”に気づいた。
 罠、ゲーム的側面を持つ罠。

 「……?」
 僕は目を疑う。
 「おい…まさか?」
 僕は凍り付いて手を止めて、彼女に視線を向けた。