「――やれやれ…」
 僕はポーンで彼女のビショップを倒す事に、妙な罪悪感を覚えてしまう。
 「ズリィぜ…。変なこと、言うなよ」


 「別に。本当にそう思ってんだもん、普段から」
 彼女は午後の紅茶レモンティを一口やった。パックに入った250mlのヤツ。紅茶の味なんかしないのに、何故か女の子は皆、それが好きだった。

 
 「つーかさ。男子も女子も、群れてるヤツらって、怖くない?」
 彼女は続けた。口調だけは、吹っ切れたように、明るいものに転じている。
 「自分が仲間って認めた人以外、誰が死のうが生きようがどうでもいいって顔してるでしょ?…でしょ?でしょ?」


 「だからさぁ! その群れてるヤツ(ポーン)を使おうとしてる俺に言うなよ! そういうこと!」
 

 「さぁ、殺しなさいよ、ビショップ」
 「可哀相なビショップを」