「報復が起きる。『俺のダチをどうしたこうした』って…。彼らが持っている『仲間意識』ってのは、ある意味、精神疾患なの。そう思わない?」


 彼女は視線を僕に向けた。
 変な意味でないけれど、野良の子猫みたいな視線だった。
 甘えと警戒心がない交ぜになった視線だ。
 
「普段、群れている造作もない連中が、突然、私を攻撃する。分かる? その怖さ」


 「分かる。そういうゲームだ」
 僕は言葉を濁した。
 彼女の示唆を含んだ言葉を無視した。

 
 コイツ、やっぱりイジメられてんのかな?


 「分かってない…!」
 彼女はビショップを手にとって、一気に前進させた。
 僕のナイトをビショップの駒の足で、コツンッ、と倒し、その空席となったマスに着地させる。
 「さぁ、オマエのターンだよ」