「やんの? チェス?」

 いやそれより…
 「私が日本だ」て、負ける気なし、ってことじゃん…


 「待ってて、ちょっと板とってくる」

 板? ああ、チェス盤のことか。
 すっかり、やる気かよ。

 …まぁ、いいや。
 時間潰しにはちょうどいい。
 あっ、けど……


 僕は宿命的に灰色の空を見上げた。
 「けどさ、雨ふりそうだぜ?」

 
 「……じゃあ」 
 彼女は一瞬考え、答えた。
 「“あそこ”でやろう」


 あそこ?
 ……誰もいない、屋内?
 
 「…どこだよ?」
 僕は首を傾げた。