「だからさ、皆、ワタシから逃げるの」


 「?」
 僕はその言葉の意味が分からず黙っていた。

 
 「だからね、アタシはさ…」
 と、彼女は言葉を途中で切って……
 なんと人が集まる中庭に向かって唾を吐いたのだった。
 「アタシ、『ビショップ』だから!」


 「バカッ! オマエ……ッ」
 僕は咄嗟に身を伏せた。
 その僕より早く彼女は身を伏せていた。
 「めんどくせぇ事すんなよ」
 

 「『ビショップ』からは逃げるしかないじゃん? 『ルーク』は」


 僕はため息を吐いた。
 「……『ビショップ』だって『ルーク』から逃げるしかないだろ?」