『ルーク』だって?

 僕はその言葉を耳にした瞬間、思わずポケットに手を入れた。

 
 ある…! 
 そうだ、昨日ここで『ビショップ』を拾ったんだ…!


 僕の中で何かが音を立てて動き出した。

 「『ポーン』って言ってもいいんだけどね。まぁ、とにかく。何だかんだ言っても世界の“大半”は真っ直ぐ進むじゃん?」
 その娘は僕の隣でフェンスに寄りかかった。
 物理的には大きく、心理的には少しだけ僕との距離を詰めて“くれた”ようだ。

 いや、“くれた”ではないけど……


 彼女は広場の方の子供達に視線を落とした。
 「世界は真っ直ぐしか進めないんだ。バカだから」
 
 確かに『ルーク』も『ポーン』も真っ直ぐしか進めない。
 

 まぁ、バカかどうかは知らないけど……

 しかもそう言ってるアナタ、何か寂しそうだけど……