その娘は少し長めのシュート・カットだった。
 ちょっとばかりスリムで小顔だという以外に、特筆すべき容姿の優があるワケではなかった。ごく普通の女子高生……。


 おかしかったのは……ただ、一点。
 彼女はブラウスの上に、タブタブのジャージを着ていた。

 男物のジャージだ、絶対。
 
 首元を開閉するだけのチャックが、サイズが大きすぎるゆえに、彼女のミゾオチあたりまで、だらしなく開け広がっている。


 寒くて羽織ってるのかもしれないけど…普通おかしいだろ…。

 彼氏のか……な?
 ……いや、どうでも良いけどさ。



 「『あぁ、うん』って。 じゃあ、誰が良かったの?」
 彼女は続けた。
 相手の戸惑いなんて彼女には関係ない事らしい。
 
 「へ?」
 
 
 「『アイツら良いよ』って言ってたじゃん?」
 そこまで言って、反応の薄い相手に腹を立てたのか、その娘は顔を上げ視線をこちらに向けた。