僕は頬に火照りを覚えている。
 僕の心拍はまだ昂ぶったままだった。


 衝撃だった。

 いや、同時に“感動”した。

 
 二人は心を触れ合わせていた。
 欲情が引き金になったのかもしれない。
 
 しかし世界の真似事ではない。
 大人達の洗脳によれば、“少なくとも”女子高生は男子高生に興味を持つべきだからだ。


 「アイツらは、アイツらの心の命じるままま、“ああ”したんだ…」

 すげぇ……。
 生心(きごころ。僕の造語)ってやつだ。
 生々しい、本当の心。嘘モンじゃない。

 僕は少し憧れた。
 同級生達の恋愛話はどうにも大人の真似をしているようにしか聞こえなかったが、今回の件については疑いようがなかったんだ。


 「すげぇ、いいよ。 アイツら……」
 僕は思わず声を出していた。
 それを、背後で聞いている人がいるなんて、知らなかった……。