僕は結局、屋上に安住の地を求めた。

 文字通り“お祭り”騒ぎの廊下を抜け、階段を上へ上へ……。

 扉を開けると、重苦しい灰色の曇り空が僕を迎えた。9月だというのに風はすこぶる冷たく、暑がりの僕ですら身震いするほどだった。
 潔く雨でも降り出せば楽になれるだろうに、空は宿命的に何かを堪え続けていた。

 そんな空は灰色を通り越して紫っぽい。


 下から音楽が聞こえた。
 階下に臨む中庭で吹奏楽部が健気にも演奏を続けているのだ。

 
 「Top of the world ~♪」
 僕は曲に合わせて思わず口ずさむ。
 カーペンターズのトップ・オブ・ザ・ワールドだった。

 まるで世界が終わってしまいそうな天気に、そのポピュラーミュージックは妙にマッチしていた。