僕は全面に暗幕を引いて、真っ暗になった体育館にこっそり侵入した。


 ステージの上では軽音楽部やら放送委員がライブの準備をしていた。開会式的なものをやったらしいが(僕は凝りもせず遅刻してきたので知らない)、今は膨大なイスが並んでいるだけで、ひんやりとしている。

 この暗さだ。ステージの反対側を足音を忍ばせている僕の事など、誰も気付かないだろう。


 僕は体育館倉庫の扉をそっと開け、同じようにそっと閉めた。
 
 そして、
 「あぁぁ~……」
 4重、5重に重なったマットに寝転がった。
 ちょうどいい高さだった。


 ちょっとカビ臭いけど、最高の秘密基地じゃあないか…