「…貴様の目的は何だ。薄汚い手で気安く我が主に手を出そうものなら、今この場でその首撥ねてくれようぞ」

「おっと、下手に構えないでくれよ。別に俺はアンタ達と死合いに来た訳じゃないんでね」


今にも殺さんとする勢いで睨み付けて殺気を放つ珀火を前にして、男は飄々としていながらも本当に手を出す気はないようで、月千代との距離は一定を保っている

その様を見ていた月千代は読み掛けの書物を横に置き、その男へと目線を移した




「もう良い。下がれ、珀火」

「しかし姫様…!」

「我が下がれと申しておる。…不服か?」

「っ…畏まりまして…」


月千代の射抜くような視線に珀火は押し黙り、数歩後ろへと下がってから静かに畳に膝を付いた
それを見計らった月千代は男に向き直ってその妖艶な笑みを見せた