『いただきます。』


陸兄と二人っきりで朝ごはんを食べる。
あたし達の父は、あたしが中3の時に癌で亡くした。
夫なくしたショックのせいだろう、母は何もしなくなった。そんな母を、同僚の男がが連れていったのだろう。

いや…

あたし達を
置いて逃げのだろう。

5年くらい過ごせそうな
金の入った通帳だけ
丁寧に残して。



だから
広い家にいつも二人だけ。

「今日、ダチんとこ泊まるから。ごめんな」

「大丈夫!!
今日はバイトあるから、
一人じゃないし。」
心配そうな陸兄に、あたしは精一杯の笑顔で答えた。

大事な
たった一人の家族に…心配かけたくなかった。

陸兄は、少し不安そうにしたがすぐに笑った。
そして、
二人そろって
ふいに見た時間に慌てた。