「……ん。」
「起きた??」

眠たい目をこすると
目の前には
転校生・和真が立っていた。

「なにしてんの!?」

「んー?お前の寝顔見てた。」

和真は
意地悪そうな笑み浮かべて
静かに隣に座った。
きっと
顔は真っ赤だろう。
自分でもなんとなくわかる。


「そーゆーの…」

文句でも言ってやろうかと
思ってふいに隣を見ると
彼は、穏やかな表情で
桜を見つめている。

そんな顔見たら
どうでもよくなってしまった。

和真につられて
莉麻も桜を見る。

何故か
この時間が心地よかった。


しばらくすると
和真が静かに語りはじめた。


「桜ってさ
綺麗だけど、とても儚くてとても切ない。
だけど、だからこそ愛おしい。
まるで、恋と同じだよな。」

「…うん。」


真剣に
話した和真の顔を見たら
思わず、ドキドキしてしまった。
和真は
くすりと笑うと
「授業始まるよ。」と言って
立ち上がった。