沢山の桜…お寺…小川にかかる橋…
『綺麗』
私がそう呟いくと笑った顔をより綻ばせて
「ありがとうございます」
と、とても愛おしそうにその絵に視線を落とされた。
「姫様に見せたくて」
『…』
「私が“自由”になった時に、見てきた物を……私が美しいと思った物を李由姫様に見せたいんです」
『“自由”…』
「姫様は“死んで初めて自由になれる”と仰りましが…私の心もそうなってしまったようなんです」
と無造作に頭を掻く姿はなんとも
――――儚い
五年という月日が流れているのにこんなにも一途に姫様を愛しておられる…姫様の為に生きておられる巧哉様は幸せなのでしょうか?