振り返った顔は思っていたよりもずっと穏やかで、
整った御顔は更に色気を含み…

「沙菜さん」

記憶の中より少し低くなった声

「お久しぶりでございます」


でも、
笑顔はあの時のままでした―――



『お久しぶりでございます。…五年振りですね』

「はい」

『巧哉様は………今、どうなされているのですか?』

「旅をこの五年…続けてきました。水墨画とゆうものをご存知ですか? 墨を水を薄めたもので絵を描くのですが」

『噂で聞いたことは……でも実際に見たことはございません』

すると…
大きな風呂敷の中から、いちお自信作なんです。と嬉しそうに、でも少し恥ずかしそうに笑って一枚の紙を出された