<side 沙菜>


姫様…私のことなど捨てて行って下さい。
姫様が幸せになれるならこの命、どうなろうと構いません



姫様を散々傷付けた男に捕らえられ……私の存在が大切な姫様を傷付けようとしている、その事実に耐えられない。


口を布で覆われ話すことが出来ない…伝えられない。それが歯痒くて、いっそのこと首に添えられた刃に勢いよく自ら向かおうかと考えている時だった


「沙菜っ」


姫様の悲痛な叫びが聞こえた


「姫様っ?!」

巧哉様の手が空(クウ)を切る音が何故か鮮明に聞こえた







……姫様が私の元に駆け寄られる姿がやけにゆっくりと見えた