「私を殺すのかっ?!…出来るか?」
不気味な笑みを合図に
奴の家臣らしい奴が縄で縛られた、沙菜さんを連れてきた。
「沙菜っ!」
『貴様…』
姫様をどれだけ苦しめればこいつは気が済むのだ
「手を出せないだろう? 私を拒もうと…李由姫様には私と婚姻し、“統一すべき者が居なくなり仕方がなく我が国が治めた”として貰わないとそこに臥(フ)している男を敬愛する国の長(オサ)共が真実を知り、攻められては困るんでな」
「外道めっ!」
唇を噛み締めて低い声を姫様は苦しげだ
「この女を返して欲しくば李由様は“自らの意志で”私の元に来て貰わねばならない」
『黙れ! 誰が…お前などに姫様を渡すか』
「ならば…この女を殺すか?」
奴の家臣が刀を沙菜さんの首にかける。
少し刃が触れたのか一筋に血が流れた姿を見て… 一瞬怯んでしまった私は李由姫様が私の横を駆け抜け行ったことに気付くのが遅かった