<side 巧哉>

「父上ーっ!!!!」

姫様の叫びが空を割る


咄嗟に姫様を庇うよう背に回すが…きっと目に入ってしまってであろう、実の父の死に目。

後ろに居たのは何度も目にしたことがある……隣国の隆心


『隆心っ?! 何故、御前が…』

「巧哉か。いくら幼なじみといえど…物言いが失礼ではないか? 身分を忘れるなよ」

同じ道場で竹刀を交え…
幼き日々を過ごした、昔の隆心とは似ても似つかない目が更に私を憤怒させる。

『子供時分から私に一度も勝てぬくせに何を言う。それよりも答えろ! 何故…将軍様を』

「何故だと?」

『御前の国は協定を組むのではないのか? 一国の頂点を殺すことはどういう事か解っていない訳ではないだろう』


背中から李由姫様の震えが伝わってくる。