『…父上』
「李由を何処に連れて行く気だ、巧哉殿?」
「強いて言えば……空、ですか?」
「ふんっ、勝手に私の鳥を逃がすのか? 私を守るべき立場のお前が…私の城を荒らすのか?」
冷たい笑みで巧哉様を睨む、父上に鳥肌が立った
巧哉様は私を背にし、刀に手をかける。
「将軍様が守りたいのは…李由姫様でございますか? それとも国でございますか?」
「愚問…私はこの国の支配者なのだ」
涙が出た。
分かっていたこと、なのに
『父上っ 私は…父上の人形でいるのは、もう嫌です』
「その前に、李由…お前は私の可愛い娘だ」
『え…?』
巧哉様の手が…
刀から放れた。