嫉妬
焦燥
憤怒
父上にこの三つだけには心を支配されるな、と言われ続けてきたが…
『姫様、私の幸せは李由姫様が御側にいることでございます』
「巧哉様…」
『初めて愛した人なのです。みすみす誰かに渡すなど出来ません』
己でも驚くほど底に響くような声だと感じたのだから
『ましてや…傷付ける輩など許しはしない』
姫様が大きな瞳が零れ落ちてしまうぐらいに目を見開くのは仕方がないことだろう
「何を」
『その痕を付けた、そやつ…姫様の心の一寸さえも存在することは許しません』
「…私は喜んでもよろしいのでしょうか?」
『姫様が嬉しいのならば喜んでください』
不安気に揺れる瞳は、やっと弧を描く
「とても……とても嬉しいでございます、巧哉様」