<side 巧哉>

『…どうして泣いておられるのです』

苦しそうに涙を流す、李由姫様は意を決したように身体を起こし寝着(ネギ)の紐に手を掛けて……ゆっくりと臍(ヘソ)から上の布を下ろした。


そこには目を塞ぎたくなるような…痕
肩を強く掴まれたのか
腹は殴られたのか

胸には口付けされたのか………

無数に散らばる痛々しい痕は、白く細く美しい李由姫様の肌にはとても不釣り合いだ。


『何故…このような』

絞り出した声は掠れ、低い


「私は汚いのです。本当は巧哉様だけには見られたくありませんでした……しかし、あなた様だけには幸せになって欲しいのです。汚い私の為に剣を振るうことはお止め下さい」