―――昨夜の姫様を思い出す




「沙…菜」

泣きながら縋り付く痛々しい姿

「……死に、たいっ」


泣き叫び、掠れる声



「私は…もう、巧哉様の目に映ることも出来ない!」


自分の身体を爪が食い込む程の力で抱き締める姫様は、そのまま消えてしまいそうなほど儚い……


『李由姫様』

私は

ただ
ただ
ただ

無力で…
李由姫様を抱き締めることしか出来ないでいた。