<side 李由>

「……貰っていただけますか?」

澄んだ声が耳に染み渡る。とても甘く優しいあなた様の声は何も例えようがない……ただ、ただ私の胸を熱くする

『私が…貰ってもよろしいのですか? お母上様の形見でわ』

「だからでございます」


ふわりと笑みを浮かべて
「李由姫様に貰っていただきたいのでございます」


誰が巧哉様にあの簪を貰うのだろう、と嫉妬していた昨日……
なのに巧哉様は私の手にどんな高価なものよりも光り輝いて見える簪を握らせる。


涙が零れ落ちた





“どうせ桜のように散るのならば、この人の為に散りたい”
と思った――――